自分の親ほどのシニアの方向けのセミナーを
担当させて頂く機会が増えています。
深刻な話にならざるを得ませんが、
その中でもできるだけ笑いありを心がけています。
それにしても、
「人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書」の中で、
定年後、95歳まで生きるには
夫婦で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になる、
資産寿命を延長するには投資も必要、
という報告があり、問題になっているようです。
報告書をざっと拝見したところ、
なんのことはない、
老後資金セミナーやコラム、監修の際に
いつも利用している家計調査の試算の話でした。
生活費の不足分だけで、
ライフイベント費や特別支出は含まれてませんから、
正しくいうならもっと必要なはずです。
それに、今や介護に備える資金も必要ですので、
平均ベースのシミュレーションでも
全然足りないのでは?
95歳を100歳にすれば、さらに5年分のコストが乗ります。
老後は、若い層ほど大変になっていくのは確かで、
報告書が提唱していたのは、
主に現役世代に向けてでしょう。
だから「iDeCo」や「つみたてNISA」をやりましょう!
ということで、
「金融庁」という立場であれば
特に問題のない発言であろうと思います。
ですが、
「老後資金が足りません、投資をしましょう」
などと「政府」から大上段に旗をふられると、
必要なことだとわかってはいても、
感情を逆なでされたり、過剰反応をする人もいるのでしょう。
イチFPが言うのとは全く違いますよね。
特に、すでに定年を迎えたシニアの方にとっては、
急に「2000万円足りませんよ」と言われても、
余裕のある世帯ばかりではなく。
65歳以上の女性の単身高齢者の
半分は貧困というデータもあります。
絶望感を抱く高齢者がいないといいなと少し心配になりました。
オーストラリアのように、
高齢者でもフローとストックの両方を見られるものの、
資産を使い切ったら、最後は国のお世話になる。
それが特別のことではない、
という認識が広がれば、安心して老いることもできるように思います。
しかし、日本には国の借金1100兆円という足かせが…。
それにしても――
超少子超高齢化はずっと昔から問題だったし、
財政問題も以前からの問題だったのに、
なぜもっと早くに真剣に対処してこなかったのか。
やっぱり悔しく思います。