「貯められない家計」を改善するには?

子育て中の方の家計や保険見直しのご相談を受けることがありますが、その際に、「貯められないんです…」とおっしゃる方も少なくありません。「貯められない」と焦りを感じていらいらするよりも、冷静に原因をさぐって、対応策を取る必要があります。

◆今年、特別な事情はなかったですか?

まずは、あなたがなぜ貯められないのか、その原因を探ってみましょう。以下のチェックシートで、今年だけ(あるいは一定期間だけ)の特別な事情がなかったか、チェックしてみてください。該当するものはありませんか?

<貯められない特別な事情はなかったですか?>

□子どもが生まれたばかりで、支出のペースがつかめない
□子どもが入園して、幼稚園代がかさみ、貯められない
□子どもが小学校や中学校から私立で、すでに教育費がかかる時期に入っている
□今年、住宅を購入した
□車を現金で買うなど大きな支出があった

いずれかに該当して、しかも、それが今年だけ、あるいは一定期間だけのことなら、その後は貯められる家計に戻れるかもしれません。一定期間経て、家計が落ち着いた段階で家計の状況を確認してみてくださいね。




◆特別な事情がなくて貯められない場合

問題は、こうした特別な事情がないにも関わらず貯められない場合です。解決すべき原因が潜んでいる可能性があります。

では次の項目から、あなた自身が考えられる貯められない理由を考えてみてください。いずれか該当するものはないでしょうか。

<特別な事情がないのに貯められない理由は?>

□あればあるだけ使ってしまう性格
□貯める目標が明確でないため、やりくりをする気にならない
□家賃やローン、保険、車など「固定支出」が全支出の中で4割超
□そもそも収入が低くて貯められない

問題なのは、教育資金をはじめ将来的に貯めなくてはいけないライフイベントがあるのがわかっているのに、貯められていない場合です。教育資金や、家を買うための頭金、車の買換え、老後のための積立など、その家によって目的は違っても、貯めるべき目的はたくさんあるはずです。これが貯められないのは大きな問題。気づいた今から、貯められるように改善する必要があります。

では、チェックシートのタイプごとに、貯められるように改善する方法についても整理してみましょう。

☑あればあるだけ使ってしまう性格

給与天引き(財形貯蓄など)や、銀行の自動積立定期などで、確実に貯められる方法を検討しましょう。使うまでの時間が長い、教育資金や老後資金の場合、一部に投資信託の積立てを組み合わせるのもいいでしょう。教育資金ということでは、こども保険(学資保険)も保険料が口座からの引き落としのため、“強制貯蓄”の効果があります。

☑貯める目標が明確でないため、やりくりをする気にならない

「いつでもその気になれば貯められる」と妙な自信があるのに、具体的な目標がないため貯められない。収入が高い人でもこのタイプはいます。
このタイプの人は、目標を明確にして具体的な貯畜計画をたてることが解決策となります。マイホームが欲しいなら、いつ頃までに買いたいのか、そのための自己資金をいくら貯めるのかなど具体的に整理します。子供の教育資金を貯めるなら、「子供が高校入学前に500万円貯める」などと具体的な時期と金額を設定し、毎月どう貯めるかのプランに落とし込みます。教育資金や老後資金、車の買換えも同じです。具体的な目標と手段が見えれば、しっかり貯蓄できる人が多いのも特徴です。

☑家賃やローン、保険、車などの「固定支出」が全支出の中で4割超

毎月確実にかかる「固定支出」が多いおかげで貯蓄ができないタイプ。家賃(ローン)や車、保険などで手取り月収の4割を超える場合は、貯蓄に回すのは至難のワザです。最近は、夫婦2人とも奨学金持ちという「ダブル奨学金夫婦」も珍しくないので、そうした返済も加えると、固定支出がかさみます。
貯められない理由がこのタイプの場合には、家賃が安いところに引越す、保険や住宅ローンを見直す、車をなくす…など、固定費を減らす工夫が必要になります。もしも住宅ローンの繰上返済を行う予定であれば「返済額軽減型」にしましょう。また、マイカーローンをはじめ何かのローンが負担になっているなら、貯蓄で返してしまうのも一法です。

☑そもそも収入が低くて貯められない

節約はやれるものは実施していて、それでも貯められないことがあります。そうした場合は、スキルアップなどでもっと収入が高い仕事に変えていくか、もしも片働きなら、今後は共働きで妻も働くことを考える必要があるでしょう。現在のように給与があまり伸びない時代には、共働きはむしろ自然なものとなりつつあります。

以上、タイプ別に対処法を整理してきました。原因を把握して、原因に合った対処法を行ってくださいね。「今は貯められないからいいや」と投げやりになっていると、いつまでも家計は改善せず、いつかツケが回ります。増税×負担増時代。問題は早めに対処して、今すぐ改善策を見つけて行動してくださいね。
できない理由を並べず、どうしたらできるかを考えてみてください。

豊田眞弓(とよだ まゆみ)プロフィール

FPラウンジ ばっくすてーじ代表
ファイナンシャル・プランナー、住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー、家計力アップトレーナー

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