日本の借金は1000兆を超え、深刻な財政難を打開しようと増税が続きます。消費税増税(4月から8%。2015年10月からは10%にアップ予定)と並んでインパクトが大きいのが、相続税の増税です。
2015年1月からは、ここまでは相続税がかかりませんというライン(=基礎控除額)が縮小。4%程度だった相続税の課税対象世帯が大幅に増えると見られています。
基礎控除は現在<5000万円+1000万円×法定相続人数>ですが、これが6割の<3000万円+600万円×法定相続人数>になる予定です。たとえば父親が亡くなって、法定相続人が母親と子供2人というご家庭の場合、基礎控除は8000万円→4800万円にダウン。相続財産の課税価格(金融資産や不動産などプラスの財産から債務などを引いた額。通常、不動産の評価額は大幅に下がる)が7000万円の家では税金が0円→175万円に増加(注:法定相続分通りに相続した場合*)。これまで「相続税と無縁」と思っていた人でも相続税がかかることも。実家やわが家はどうなのか、1度チェックしてみましょう。
ただし、「相続対策」は「節税対策」だけではありません。相続税がかかる場合の納税資金を確保するための「納税資金対策」、相続でモメないための「円満相続対策」も大事です。相続でモメて調停に持ち込まれる割合は、相続財産5000万円以下が7割超。相続税がかからなくても「円満相続対策」は必要です。
子供が2人以上いるのに相続財産が家だけだったり、さらには子供の1人だけが親の介護を負担した場合など、分けようがない遺産はトラブルのモトにも。仲のいい家族でも“争族”が泥沼化する例もあります。そんな不幸を招かないよう、生命保険等で対策をとる、遺言書を書くなど、「円満相続対策」も取っておきましょう。
40代を超えたら親の相続と自分の相続について備える年齢といえます。
*配偶者は1億6000万円か法定相続分のどちらか多い額まで非課税。母親が非課税枠の範囲で多く相続すれば当面、相続税はかからないものの、その母が亡くなった時に相続税がかかるケースも。そのため、配偶者の一方が亡くなったときの「1次相続」に加え、もう一方の配偶者が亡くなったときの「2次相続」までを考慮した相続対策が必要です。
豊田眞弓(とよだ まゆみ)プロフィール
FPラウンジ ばっくすてーじ代表
ファイナンシャル・プランナー、住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー、家計力アップトレーナー