小さいけれど思わぬ影響が! 2013年1月に導入された復興増税

*過去のコラムに加筆したものです

復興財源法により、2013年1月から始まった復興増税について整理しておきましょう。この増税により、特別所得税2.1%が25年間課せられ、個人住民税が2014年6月から10年間、均等割分に年1000円が上乗せされます。

所得に対する影響は実はさほど大きくありません。あくまでも試算ですが、年収500万円で年2960円、700万円で5649円、900万円で11679円程度です(住民税増税後)。

「わが家の影響は?」と思った方は、支払調書などで昨年の所得税額を調べ、2.1%をかけて試算してみてください。実は、消費税増税(2014年4月から8%に、2015年10月から10%に)の影響や、あるいは年少扶養控除の廃止による増税に比べれば、金額は1桁小さいものです。

ただし、それはあくまでも所得に対する影響のこと。実は復興増税の影響はほかにも出ているのです。
所得税の対象としては、預貯金などの利子所得や、株式などの配当所得などもあるのです。ご家庭によっては貯蓄や投資を行っていると思いますが、それらにも影響が生じます。




預金の利子にかかる税率は、現在、20%(所得税15%・住民税5%)ですが、特別所得税を加味した税率は20.315%となります。スズメの涙ほどの利子がさらに減ってしまうというわけです。

上場株式や公募投資信託の配当金、売買益への課税は2012年までは10%(所得税7%・住民税3%)でしたが、これが2013年1月から10.147%になりました。

また、この「10%」は時限措置で軽減されていたもので、2014年からは20%(所得税15%・住民税5%)に戻り、さらに復興増税を加え20.315%になったのです。

他にも、保険の満期金等の一時所得が年間50万円を超える「差益」が出る場合は、超えた分の半分が所得に加わるため、昔の予定利率の高い養老保険等に入っている方にも復興増税の影響が。

復興増税自体は小さいけれど、思わぬところに影響が出ることを知っておいたほうがいいでしょう。

上場株式・公募投信の配当金や売買益への課税(復興増税を加味)
~2012年12月31日 2013年1月1日~2013年12月31日 2014年1月1日~2014年12月31日
預金の利子 所得税15%
住民税5%
所得税・復興特別所得税15.315%
住民税5%
株式投資信託の普通分配金・譲渡益など 所得税7%
住民税3%
所得税・復興特別所得税7.147%
住民税3%
所得税・復興特別所得税15.315%
住民税5%

豊田眞弓(とよだ まゆみ)プロフィール

FPラウンジ ばっくすてーじ代表
ファイナンシャル・プランナー、住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー、家計力アップトレーナー

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