予備費は“家計の防波堤”

家計とか貯蓄の話をする際にゼッタイに欠かせないのが「予備費」という視点です。予備費は、特別支出や不測の支出に備える、いわば“家計の防波堤”。急に大きめの支出が発生した場合をはじめ、家族に病人が出た、親が倒れた、あるいは家計の担い手が失業した場合など、予備費としての貯蓄があるのとないのとでは大きな違いです。予備費がなければ、不測の支出分を捻出するために他の貯蓄を崩すか、それすらもなければ、借金をすることで対応せざるを得ません。

年齢・性別、家族の有無に関わらず、自分でおカネのやりくりをする必要がある人にとって、予備費を貯めることを、家計管理の基本として提案しています。結婚して扶養家族がある人はもちろん、独身男性、独身男性にとっても、この予備費貯蓄は重要です。というのは、それだけ家計のリスクが高まっているからです。




なぜ今、予備費の重要度が高まっているか

家計のリスクが高まっているというのは誰もが肌で感じていることだと思いますが、その原因としては、①不況で所得が減る傾向にある、②リストラや倒産による失業の増加、③社会保障の保険料が上がる傾向にあり可処分所得が減っている、④公的医療保険の自己負担額が増えている、などがあげられます。これらによって、予備費の重要性はますます増しているといえます。

④について説明しておくと、1ヶ月の自己負担額の上限額もアップしているのです。医療費の上限額以上を病院に支払った場合は、超過分を後から払い戻される仕組みになっているのですが、この上限ライン(高額療養費)がじわじわと引き上げられています(注:食事療養費や差額ベッド代などは対象外で、全額自己負担)。

さまざまな家計のリスクが高まる中、万一の時には借金を抱えることにならないよう、きちんと予備費を貯めておきたいものです。

いまどきの予備費はいくら必要?

では、予備費はいくらあればいいでしょうか。以前は、「生活費の3か月分程度」といわれていましたが、私は「生活費の半年分」は必要だと思っています。何らかの理由で収入が絶たれても、「予備費があれば半年はどうにかなる」と思えるのは、非常に心強いことでしょう。たとえば、失業して求職に期間がかかった場合でも、失業保険が切れてもあわてずに職探しができます。

とはいえ、たとえば生活費が半年で150万円かかる人にとって、それだけのお金を目的を定めない分としていつでも引き出せるようにしておくことは、なかなか難しいかもしれません。実際には、純粋な予備費だけでなく、結婚資金や教育資金、老後資金など、他の目的別貯蓄を一部“兼用”させるのも手です。ただし、「万一の時」に使った分は、その後、優先的に元に戻さなくてはいけませんが。

どう貯める?

予備費を預ける金融商品としては、いつでも引き出せる流動性が大事。また、いつ必要になるかわからないので、換金しようと思ったときに損切りを余儀なくされる事態は避けるためにも、リスクのある商品は避け、安全性も重視したいもの。

普通預金に一部を置くとして、それ以上は定期預金でもいいでしょう。中途解約しても利息がダウンすることはあっても元本は割れませんので。また、証券会社のMRFなどもでもいいでしょう。
皆さんも、予備費貯蓄について考えてみてくださいね。

 

豊田眞弓(とよだ まゆみ)プロフィール

FPラウンジ ばっくすてーじ代表
ファイナンシャル・プランナー、住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー、家計力アップトレーナー

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