目的ごとに金融商品も検討を

前回のコラムで「正味財産」を見てきましたが、それはあくまでも「現時点でのもの」であることに、注意しなければなりません。

投資商品や不動産の評価額は、大きく変動することもあります。また夫がサラリーマンであれば、退職金というそれなりの収入が見込めますから、生活の将来設計を考えるときには、それを織り込むことができるでしょう。

理想を言えば、今後予想される大きな出費について、使途ごとにどの資産で賄うのかを明確にしておきたいものです。例えば、突発的な出費に備える生活予備費は、すぐに引き出せる預貯金で貯めておくとか、教育費は学資保険や定期預金、投資信託など。

そうやって割り振った結果、現状で「正味財産」がプラスであったとしても、まだまだ資産形成が必要なことがわかるかもしれません。例えば子どもの教育にはふんだんにお金をかけたいということであれば、そのぶんを先取りして、残りの資金をどう分配していくかという戦略も可能になるでしょう。




603000(ロクマルサンゼン)運動

「8020(ハチマルニイマル)運動」というのがありますよね。80歳で20本以上の歯を残そうという取り組みです。それをもじって私の提案しているのが、「603000(ロクマルサンゼン)運動」。夫婦2人世帯で、60歳時点で3000万円以上の「正味財産」を目標にしようと呼びかけているのです。60歳ではとても無理だという人は、65歳でもかまわないのですが、とにかくリタイア時点で3000万円以上。もちろん老後をどんな生活水準で暮らしていくかにもよりますが、減額されていく年金でもどうにかやっていくことができるはずです。

仮に夫の退職まであと10年で、目標まで1000万円足りないとなったら、1年間で100万円ずつ上乗せして貯める方策を真剣に考える。趣味につぎ込んでいたお金を切り詰めたり、あるいは収入を増やすために妻が働きに出たり。40~50代といえば、ある程度ライフスタイルが確立していて、それを変えるのはなかなか大変。でも家計のリアルな状況を掴むのは、方向転換の大きなモチベーションになるのではないでしょうか。

家計の今を知る――。それは、現在の生活を見直し、これからの生き方を冷静に考えることにつながるものだと、私は思うのです。やみくもに無駄を削ろうと思ってもできません。まずは、具体的な数字で、自分の現在の状態を知り、目標を定める。そのためにぜひご家族で、このチェック表を活用してください。子どもも交えれば、よい金銭教育になるはずですよ。

 

豊田眞弓(とよだ まゆみ)プロフィール

FPラウンジ ばっくすてーじ代表
ファイナンシャル・プランナー、住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー、家計力アップトレーナー

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