相談業務の中で、住宅ローンに関して遭遇した「勘違い」シリーズ。なにが問題なのか、一緒に考えてみましょう。

ああ勘違い、その1 「変動金利は金利が1.25倍までしか変動しないので安心だ」

変動金利型の金利は年2回、見直されますが、返済額は急激に上がらないように5年ごとの改定になり、その変動幅もそれまでの“返済額”の1.25倍までとなっています。

実際に変動金利で借りているシングル女性と話していて、ちょっと怖くなったことがあります。
「5年間返済が変わらない」
「6年目に返済がアップしても1.25%まで」
という変動金利型の2つのポイントだけが頭に残っているようでした。

「金利変動リスク」や、「未払い利息」と聞いても、何のこと?という程度の理解で変動金利を利用していたのです。しかも話をしていてわかったのは、「金利が1.25倍までしか上がらない」と勘違いをしていたようなのです。

変動金利型は、5年間は返済額が変わらなくても、適用される金利自体は青天井で変わります。金利上昇が大きければ、返済額の中の元本と利息の割合が変わって利息分が増えていくこともありえます。その結果、元本が減らず、利息ばかり払っている状況にもなりかねません。




さらに利息の割合が増えると、毎回の返済額を全部、利息分にしても間に合わなくなって、「未払利息」まで発生することもありえるのです。ましてやローン返済がぎりぎりで、貯蓄可能額がほとんどないような方が変動金利で借りている……。そう聞いただけで、背筋がぞっとします。

ああ勘違い、その2 「ローンの仮審査がおりたので、転職をした」

金融機関からの借入れに際しては、2~3年の最低勤続年数を定めているところが多くなっています。その一方で、最近は転職も珍しくなくなっていて、不用意に転職をした結果、住宅ローンが借りられないケースも見られます。

「仮審査」はまだ正式な審査ではなく、ましてやローン契約も結んでいないのに、うっかり転職をしてしまい、仮審査が通った金融機関でローンを借りることができず困った……というケースも。最近は、転職が住宅ローンを借りるには不利になるということが知られつつあるので、こういった「うっかり」も減ってきましたが……。

勤続年数の制限がないのがフラット35です。銀行等からの借入れが難しければ、これらのローンの借入れができるよう準備をするといいでしょう。

ああ勘違い、その3 「頭金があれば家は建てられる」

土地があって住宅だけ建てる人の場合はいいのですが、土地から購入して建物をローンで建てたいという人がいます。その場合、上手に手持ちのお金の配分や、ローンを組まないと、計画がひっくり返ってしまうこともあります。

たとえば――土地で3500万円、建物で2500万円という予算の場合で、手元に預金1500万円あったとします。ところが、土地を買うのに1500万円を使ってしまい、手元のお金がすっからかんに。それで注文住宅を建てようとしても、着手金や諸費用、中間金などが支払えず、お金が回らずに計画が空回り……なんてことも。

方法はないわけではありませんが、当初考えていたような形の家作りはあきらめざるを得なくなる可能性もあるわけです。ローンも含め、最初に資金計画を立てることがいかに大事かということですね。

ああ勘違い、その4 「自分の健康状態と家を買うことは関係がない(と勘違い)」

住宅ローンを組むには健康でないといけないのは徐々に知られつつあるのではないでしょうか。でも、自分の健康状態と家を買うことの間に、直接的な関係があるとは思わない人もまれにいます。

民間金融機関のローンのほとんどのものには、借入れ要件として、「団体信用生命保険に加入できること」という項目があります。団体信用生命保険とは、借入れた人が亡くなった場合に、死亡保険金でローン残高を完済するものです。これにより、万一のことがあっても遺族に負債を残さずに済みます。

それはいいことなのですが、健康状態が良好でないと加入できないため、健康状態がよくないと住宅ローンの借入れができないことも。どうしてもローンを利用するのであれば、住宅金融公庫か、団信加入を任意としている民間金融機関を探して利用することになります。

借換えも、「いつか借換えればいい」と考えていても、健康状態によっては有利な借換えができなくなる可能性もありますので、健康なうちに実施しておいた方がいいでしょう。

 

豊田眞弓(とよだ まゆみ)プロフィール

FPラウンジ ばっくすてーじ代表
ファイナンシャル・プランナー、住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー、家計力アップトレーナー

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